切削油のお役立ちコラム

切削油とは︖

切削油剤は金属加工油剤の一種で、その名の示す通り、切削加工に使用する潤滑油剤のことです。
切削加工とは、工具および工作機械を用いて金属等の材料(加工物)を削り取り、必要な形状や寸法に仕上げる加工法で、旋盤による旋削やドリルを用いた穴加工などに代表されます。
一般には、工具の代わりに砥石を用いた研削加工も切削加工に含まれます。

◆ 切削・研削油剤の作用とは?

①潤滑作用

(工具の摩擦・摩耗の低減、切り屑工具接触の抑制)

→工具の摩耗が少なくなり、工具の寿命が伸びる

→切削の抵抗が少なくなり、少ない力で加工ができる

→構成刃先の発生を防ぎ、加工面の精度が向上

 

②冷却作用

(切削時に発生する熱除去、工具硬度の軟化防止、加工物の熱膨張の防止)

→工具の熱変形が少なくなり、工具寿命が伸びる

→加工物や工具の熱変異を防いで、加工精度が安定

→高速加工が実現

 

③浸透・洗浄作用

(界面への油剤の浸透促進、切り屑の洗浄)

→切り屑の付着による加工物のキズを防止

→切り屑の詰まりや、積もった切粉による加工不良を防止

→からまった切り屑よる工具の折れを防止

 

 

上記の作用などから、切削油を使用すると以下のような効果が期待できます!!
① 工具寿命の延長
② 加工精度(寸法精度、仕上げ面粗度)の向上
③ 加工条件の促進
④ 作業環境の改善
⑤ 切り屑処理
⑥ 加工物の錆、変色の防止

その結果・・・

「生産性の向上」と「トータルコスト低減」が実現します!!!

 

水溶性切削油剤と油性切削油剤のメリット・デメリット

注1:異種油の混入による切削性の低下
  →前工程油、潤滑油、作動油が混入すると除去が不可能。
   切削油内の有効成分減少や粘度変動が起こり、切削性が低下する。

注2:水分の混入による防錆性低下
  →前工程に水溶性を使用していないか、など水分混入しないように注意することが必要。

水溶性油剤の管理

水溶性油剤の保守管理の注意点

① 濃度管理
 ☆ 全てのトラブルの元になるので推奨濃度を必ず守る!!基本中の基本!!

② 外観・臭気
 ☆ 潤滑油などの混入油による汚れ具合、腐敗の有無の判定

③ 切り屑、研削粉の蓄積
 ☆ 微生物の栄養源や酸化促進の触媒として作用

④ pH管理
 ☆ 腐敗や防錆性低下の目安となる。pHが8.0以下になると要注意!!

⑤ 腐敗
 ☆ バクテリア10⁵以下。これ以上になると腐敗臭が発生しだす

*腐敗に関してはクーラント濃度さえ管理していたければ滅多にトラブルは起きないです

水溶性油剤の劣化

主な水溶性油剤の劣化現象

  1. バクテリアの繁殖
    バクテリアの繁殖によって「作業環境の悪化」「加工性能の低下」等の問題が発生

  2. 水溶性油剤のブレイク現象
    水溶性油剤は被削材の金属イオンによって乳液が破壊(ブレイク現象)される事がある。特にイオン化傾向の大きい金属である、Mg、Alの加工には注意が必要である。☆高圧ポンプから送り出される水溶性油剤が、加工面や機械内で叩きつけられる事でブレイク現象を引き起こす事がある。水溶性油剤は水の中で油玉を界面活性剤の作用によってバランスを維持しているが、激しく叩きつけられる事により、そのバランスを崩し、スカムを発生させる。

  3. 混入油剤の乳化によるベタつき
    ・摺動面油、作動油などの切削を目的としていない油分の混入は、加工性能を妨げる。
    ・濃度管理の上で正しい濃度が計れない。
    ・油分の混入した水溶性油剤は、加工中に刃先から激しい油煙を発生させる。
    ・混入した油分はバクテリアの栄養源となるので、バクテリアの繁殖の要因になることがある。

  4. 劣化によって生じる問題点
    ・水溶性油剤の分離、有効成分の消耗等による濃度低下
    ・腐敗臭による作業環境の悪化
    ・pH及び濃度低下による機械、被削材の錆
    ・スライム、ヘドロ状の物質の生成による配管、フィルタ、コックの目詰まり
    ・使用液の灰黒化による美観の低下
    ・バクテリアの代謝生成物による毒性、皮膚刺激性等の安全性の低下
    ・使用液の寿命低下による液交換などの経済的負担

水溶性油剤の濃度管理について

 

不水溶性切削油剤の場合は製品そのものの濃度でそのまま使用します。

一方、水溶性油剤の場合は濃度管理が重要となります。
濃度が低いと防錆性能、加工性、耐腐敗性の低下など性能が落ちてしまいます。逆に、濃度が高すぎると経済性、泡立ち、肌荒れなどの原因となります。

 

ではどう濃度を管理するのでしょうか??

弊社では果物などの甘さを測定する時に用いる”Brix計(糖度計)”を使用し、水溶性切削油剤の濃度を測定することをお勧めしています!

Brix計(糖度計)は、「糖分の含有量によって光の屈折率が異なる性質」を利用した装置です。 水溶性切削油は各切削油剤によって、屈折率が違います。そのためこの屈折率の補正の為に、各油剤のBrix換算係数が必要となります。

⇩⇩⇩⇩⇩⇩
切削油剤の実濃度は、「Brix計の読み値×Brix換算係数」となる!!

【実例】
Brix読み値が2.5、Brix換算係数が2.0の時、油剤濃度は5.0%(希釈倍率20倍)となります。

水溶性油剤の希釈方法

通常希釈液の作成は、所定量の水を張り込んだ後に原液を撹拌しながら添加して希釈します!

先に原液を入れてしまうと正常な(安定な)エマルションが出来なかったり、タンクの壁面やタンク底に付着して正確な濃度の希釈液が出来ない場合があるためです。

水溶性油剤の希釈方法

通常希釈液の作成は、所定量の水を張り込んだ後に原液を撹拌しながら添加して希釈します!

先に原液を入れてしまうと正常な(安定な)エマルションが出来なかったり、タンクの壁面やタンク底に付着して正確な濃度の希釈液が出来ない場合があるためです。

水溶性油剤の補充方法

液が不均一になる事を防ぐために、原液及び水を直接タンクに添加する事を避け、 液を補充する時はあらかじめ別容器にて作成した希釈液を補充する事が望ましいです。

水溶性油剤の発泡と対策

 

水溶性油剤の発泡の原因

 

発泡の原因には、大きく分けると①化学的要因と②物理的要因が挙げられます。

① 化学的要因

  • 切削液の濃度が高い

  • 希釈水の硬度が低い

  • 切削液の水温が低い

  • 切削液が酸化して、粘度が高くなった場合

 

② 物理的要因(機械的要因)

  • 切削液ポンプの供給圧力が高い

  • 循環経路に目の細かいフィルターが設置されている

  • パイプ内径が汚れや詰まり等、何らかの原因で狭くなっている

  • タンク容量が小さい(切削油の循環経路が短い)

  • タンクへ戻るパイプの位置が高い など


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